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太平洋戦争考察

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検証・米本土決戦はあり得るか



日本本土決戦、これは日本がポツダム宣言を受諾しなければ実際にあり得た展開ですが、それについての検証はおこないました。
それではその一方でアメリカでの本土決戦はあり得たのでしょうか。そしてそれに至るにはどのような展開が考えられたでしょうか。

もちろん日本軍がアメリカ本土に大部隊を上陸させると言うのは、補給一つを取ってもかなり無理がある展開です。太平洋戦争が「米軍は日本本土に上陸できるが日本軍はアメリカ本土に上陸できない」と言われる所以ですね。しかしここではひとまず日本が一時的に全ての国力を米本土上陸作戦のために集結させる、これはすなわち、たとえば日本全土が数日間一時的に停電することも覚悟で発電用の燃料を日本に輸入せずその輸送船を米本土上陸部隊の輸送に振り向けるということも含めた話ですが、そのようにして日本軍部隊が米本土に上陸する能力を有することができる、そういう前提で話を進めることにしましょう。

具体的な米本土への上陸に至るルートは、ミッドウェーの占領に続いてハワイの占領が必要です。その後は米西海岸に上陸してワシントンに至るか、あるいはパナマを占領してパナマ経由で米東海岸に上陸してワシントンに至る道筋が考えられるでしょう。ミッドウェーは史実においても占領直前まで行きましたが、問題はハワイです。ハワイにはアメリカ太平洋艦隊の拠点があり、いずれにしてもこのハワイを無視してアメリカ本土に至ることはできません。そのため、米本土上陸作戦の現実性を考える上で、どうしてもこのハワイ占領作戦の成否を考える必要が出てきます。
それでは日本軍はハワイ占領作戦についてどのように考えていたのでしょうか。

ここで気がつくのは、日本軍がハワイ占領に対しかなり消極的な姿勢だったということです。実際には日本軍は、ニューギニアからソロモン諸島・フィジーに至る島嶼を占領し、米豪遮断をおこなう(いわゆるFS作戦)ことを重点として考えていました。山本五十六がミッドウェー攻略からハワイ占領に至る作戦を強烈に主張したため、その後ドゥーリットル空襲が発生したこともあり、急遽ミッドウェー攻略作戦が実施されることになりましたが、そうでなければ日本軍がミッドウェー攻略を本気でおこなうつもりがあったかどうかはきわめて疑わしいものなります。ミッドウェー攻略が無ければハワイ攻略もありませんし、もちろん米本土上陸もありません。また史実においてもミッドウェー攻略と並行してアリューシャン諸島攻略作戦が開始され、これは空母『隼鷹』『龍驤』を基幹とする艦隊が出動してアッツ・キスカを占領することで成功させていますが、この作戦はハワイから米本土に至るルートとはかけ離れていて(せいぜいアラスカ州に至る完全に僻地のルートになります)、米本土上陸のための足がかりとなる拠点を占領するという目的を前提に考えるには疑問がつきまといます。また実際、空母戦力をミッドウェー攻略に集中させず、部隊をミッドウェーとアリューシャンに分散させたことがミッドウェー海戦における敗退の原因の一つであるとも指摘されています。いずれにしても、この一連のミッドウェー・アリューシャン攻略作戦からは、日本軍が米本土上陸のための足がかりを建設するという本気ぶりが見えないのです(おそらく本当のところは、ドゥーリットル空襲を受けたため、アメリカ空母部隊の日本本土接近を早期に探知する哨戒網を作ると言うのがミッドウェー・アリューシャン攻略作戦の真の目的でしょう。千島方面は哨戒網の拠点となるべき島が少なく、そのためにアリューシャンまで出向いてアラスカ方面からの来襲に警戒する必要を感じたというのが実情ではないかと思われます)。
ドゥーリットル空襲があるまでは日本軍は総じてミッドウェー・ハワイ攻略よりも米豪遮断作戦に注力する傾向が強く、実際にミッドウェー攻略作戦が発動される段階になっても米本土上陸に向けた足場作りに全力を傾けようとする気配はありません。日本軍は作戦の可否はともかくとして、米本土に上陸しようと言う意図自体を持たなかったと言わざるを得ないでしょう。ただ、作戦の可否という点ではフィジーに至るまでの全ての島を占領しきって米豪遮断をおこなうというプランも相当の無理があります。つまり米本土上陸ができないというのは作戦の可否の問題以外に、何らかの意図があるからと考えられそうです。その意図とは何でしょうか。

ここで考えるべきことは、米本土に部隊が上陸した後で活躍するのは日本陸軍であるという事実でしょう。最終的にワシントンを攻略するという壮大な作戦が、それが可能か不可能かと言う問題はともかくとしておいて、米陸軍との交戦が避けられない以上、日本陸軍が出動することは必然でしょう。つまり日本海軍としては、海軍がどれだけ海戦で勝利を重ねても、海軍がどれだけの米海軍艦艇を撃沈しても、海軍がどれだけ努力して米本土へのシーレーンを確保したとしても、最後にホワイトハウスに行って日本軍の旗を立ててくるのは日本陸軍であるということで、これがはたして不仲で有名な日本海軍と日本陸軍の関係でおこなえることだったかどうか。また実際日本海軍は太平洋戦争開戦直後において、真珠湾を奇襲してアメリカの戦艦を全滅させたり、東南アジアでは戦艦『プリンス・オブ・ウェールズ』『レパルス』空母『ハーミス』を撃沈したりと活躍したものの、シンガポール・フィリピン・ジャワ島に進出して現地住人から日章旗を掲げられながら歓迎されるのは日本陸軍という事態になることを経験しているわけであり、開戦前の対米作戦計画の全容をどのように考えていたかはともかくとして、日本海軍としては米本土上陸作戦が成功してワシントンを占領したとして、その手柄が陸軍と海軍のどちらに行くかということは真剣に考えなければならないことであったでしょう。それがアメリカ本土上陸に向けての最大のハードルであったと言うことは間違いないと思われます。
一方の米豪遮断作戦であれば、島嶼の攻略・防備には日本陸軍の支援が必要だったとしても、その後のニューギニア・ソロモン諸島・フィジーに至る島嶼の海上警戒・交通連絡には海軍も必要になりますから、海軍としてもその存在価値を示すことができます。もちろん日本陸軍としても、島嶼攻略・防衛に存在価値を主張できるのであればそれほど悪い話ではありません。それに日本陸軍にとっては主戦場は中国大陸で、太平洋方面では海軍の顔も立てなければならない事情もあり、それほど多くの戦力を割きたくはなかったでしょうが、米豪遮断のための島嶼占領くらいであればそれほど多くの陸軍部隊を送る必要も無く、海軍に対してそれなりの貸しを作ってメンツを保ちつつ海軍との妥協をすることも容易なポイントだったでしょう。これが日本軍が米本土決戦よりも米豪遮断作戦に注力しようとした真相ではないかと思われます。

もう一つ、日本軍にとって米本土上陸が不可能である要素として、アメリカ国民は拳銃を所持しているということも挙げられるでしょう。もちろん当時の日本陸軍の制式銃、三十八式歩兵銃がいかに旧式で悪名高いものだったとしても火力自体は拳銃に負けるものではありませんが、日本陸軍がアメリカ本土に上陸した場合には、米陸軍のほか、拳銃で武装した民間人と戦うことになる可能性も考慮する必要はありました。ハワイには陸上砲台があって上陸作戦時には脅威と見なされていましたが、それだけでなく日本軍は拳銃で武装した数十万のアメリカ民間人とも交戦しなければならないリスクにさらされていました。

総じて言えば、米本土決戦を制して日本がアメリカに勝利する展開に至る壁は数多いということになるでしょう。





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